「森と小川の教室」指導書
リトル・フィールドの学習方式
総合的な学習の源
—教育現場での学習の手法—
発行責任者 故・小野喜一郎
戦後幅を利かせてきた教育方法は、「自由」という名のもとに子どもの「夢」を食べてしまってはいませんでしょうか。子どもたちが真に自立する機会を見失わせていませんでしょうか。
住環境の影響から、日常屋内で過ごすことの多い今日の少年・少女は、平衡感覚や俊敏性のみならず、あらゆる機能が著しく低下しています。これは、日常生活の周りから自然が遠のいたために起こるべくして起こった現象のようです。言い換えれば、人間の失った動物的な側面が成長できないでいるのです。
人間として、動物として、本来の少年・少女のあるべき姿を取り戻すべく、自然の教育力を今日ほど求められる時代はありません。人それぞれ、自然の中で見えないものが見え、聞こえない音が聞こえるようになり、「夢」と「自立」を育み、新たなる一人ひとりの人間に成長して貰える最良の機会でもあります。
活動および学習は、子どもの生きる力を養うと同時に、指導者自身の学びの機会でもあります。指導者の目標が、少年・少女の目的と一致したとき、自然の教育力の凄さを知り得ることになります。 (指導書より)
首都大学東京准教授
西島 央(教育社会学)
日本の学校教育は、子どもたちが学びたくなる前に教えてしまいます。でも、そうやって学んだ知識や考え方は、テストの点にはつながっても、日々の生活で使えるようにはなりません。学校で学ぶ知識や考え方は、本来、自然や暮らしの中にあって、日々の生活を通して疑問や発見のかたちで「気づく」ものです。その「気づき」こそが生きる力の源です。
森と小川の教室の「教え込まない指導方法」は、時間をかけて横道にそれながら自然や暮らしの体験をすることを通して、子どもたちの「気づき」を引き出そうとする実践です。生きる力やキー・コンピテンシーが重視されるいま、それらの力を養うことのできる森と小川の教室に、小中学校教員や教員志望の方々に参加していただきたいと切に願っています。
「森と小川の教室」の特長がよくわかるYouTube動画をご紹介いたします。